ドリップコーヒーの抽出の調整方法

お客様ご自身でドリップして、コーヒーを淹れるときに、思った通りに淹れられないというお声をよく聞きます。

もちろん、ゆるり珈琲流のレシピをお教えしていますし、それで美味しく抽出できれば、大変嬉しいことなのですが、、、

どうしても、ご自宅では器具の違いやミルによって粒度の違いが出てきたり、人によってドリッパーへのお湯を入れるスピードも違ったり等々、お店のレシピだけでは上手くいかないことも多いようです。

それぞれの環境でご自身の淹れ方で、思い描いた味に調整するひとつの方法をご紹介できればと思います。

ドリップコーヒーの調整の考え方

ポイントは珈琲の成分の出る順番を考えながら抽出効率を調整すること。

抽出効率とは「成分をお湯に取り出す効率」のことです。

抽出効率を上げれば溶け出しにくい成分も抽出でき、
逆に抽出効率を下げれば、溶け出しやすいものだけ抽出できることになります。

成分は溶け出しやすいものや溶け出にくいものがあります。

ざっくり、成分の溶け出やすい順に言うと
「酸味」→「甘味」→「苦み」→「雑味(エグみ)」
の順で出てくると言われています。

これらの味が複雑に組み合わさって、珈琲の味が決まってきます。

各成分はお湯と粉が接している時間やお湯の温度、粉の粒度によって成分の溶け出し方(抽出効率)が異なってきます。

例えば、
・お湯と粉が接している時間がとても長ければ、「雑味」までの全ての成分が溶け出し、短いと「酸味」だけしか溶け出ないことになります。
・お湯の温度が高ければ「雑味」までのすべての成分が溶け出し、低くければ「酸味」だけしか溶け出ないことになります。

溶けにくい美味しい成分が出るように効率抽出を高くするか。
雑味やエグみなどのイヤな成分が出ないように抽出効率を抑えるか。
抽出効率を調整しながらドリップすることで、お好みの味に調整することができます。

変化をもたらす3つの要素

ドリップコーヒーの味を決める要素は
1.抽出時間(蒸らしを含めて)
2.粒度
3.お湯の温度


この3要素の組み合わせで、抽出効率を調整していきます。

このほかにも、濃度を調整で粉の分量を増やすということも考えられます。

1.抽出時間(蒸らしを含む)

蒸らし
蒸らしは、粉に含まれているガス(二酸化炭素)を排出するために行う作業です。
ガス抜きしないでお湯を注ぐと、粉とお湯の間にガスの残った状態となり、抽出効率が上がりません。

そのため、味が薄すかったり、酸っぱいだけのコーヒーになりやすいです。このような場合は、蒸らし時間を長めにしてみてください。

蒸らしはガス抜きと粉にムラなくお湯通すことが目的なので、
蒸らし時にドリッパーを揺らしたり、スプーンなどで撹拌することで、ガス抜きを促す方法もあります。

特に当店がご提供しているような、
焙煎したての新鮮な豆については、最初の2~3日までぐらいはガスが多めに含まれています。
抽出効率が低いと感じるときは、
多めに蒸らし時間をとって上げることをオススメします。

抽出時間

蒸らしが終わったらお湯を注ぎますが、注ぐスピード(流入量)によって、
粉とお湯が接している時間が変わってくるため、抽出効率も変わってきます。

注ぐスピードが速ければ、コーヒーの成分が出にくく(抽出効率が低く)なり、
遅ければコーヒーの成分が出やすく(抽出効率が高く)なります。

そのため、味が薄かったり、酸っぱい場合は、
抽出時間が速いので、注ぐスピードを遅く(流入量を少なく)して、
お湯と粉の接する時間を長くしてあげてみてください。
苦かったり、エグかったりするときは、抽出時間が遅いので、
注ぐスピードを短く(流入量を多く)して、お湯と粉の接する時間を短くしてみてください。

抽出時間を調整する方法として、お湯の注ぐ量のほかに、ドリッパーは変えて調整することもできます。

2.粒度

粉の大きさ(粒度)によっても、抽出効率を調整することができます。

粒度が大きいと抽出効率を下げることができ、
小さいと抽出効率を上げることができます。

粒度が大きい場合、
「苦み」「雑味」まで、抽出するのに時間がかかるため、
苦みや雑味を抑えられ、心地よい酸味を楽しむことができたり、スッキリした味とすることができます。
逆に言うと、味が薄かったり、酸味しか出ずに深みのある味にならないこともあります。

粒度が小さい場合、
1粒1粒の成分をしっかりと出すことができるため、「酸味」「甘味」「苦み」が複雑に組み合わせられた、深い味になります。
逆にデメリットとして、「雑味」まで抽出されるとエグみや心地良くない苦みまで溶け出してしまうことになります。

3.お湯の温度

お湯の温度が
高いと抽出効率が高くになります。
低いと抽出効率が低くになります。

沸騰したお湯でドリップすると美味しくない理由は抽出効率が高すぎるため、エグみなどが抽出されてしまうからです。

温度計がなくても、数分待つだけでもお湯の温度は下がってきます。抽出効率を下げたい場合は1番手軽かと思います。

簡単にできるものからトライ

「抽出時間」「粒度」「お湯の温度」から簡単にできるものから試してみてください。
どれか1つだけでも、変化があり、違う味を発見できると思います。
ご自分の好みの味を探してみください。

酸っぱいなら、「苦み」成分を意識して抽出してみると、
甘味を感じたり、苦みとの対比で酸味の華やかさやフルーティーさを楽しむことができるかもしれません。

苦みを抑えて、
酸味の割合を増やすことを意識すれば、
酸味との対比で、より心地よい苦みを感じられるかもしれません。

ちょっとしたことで、味の変化を楽しむことができますし、豆によって淹れ方を変えて楽しむこともできます。
酸味が特徴的な種類なら、酸味を活かす淹れ方をしてみたり、
コクや苦みが特徴的な種類なら、しっかり抽出する淹れ方をしてみることもできます。

手軽だけど、難しいドリップコーヒー。
あなたのオリジナルレシピでご"ゆるり"とコーヒーをお楽しみ頂ければと思います。